松田理奈さん古典派独占インタビュー
~ヴァイオリニストとしてのこれまでとこれから~
- 幼い頃からヴァイオリンをされていらっしゃいますが、プロになろうと意識されたのは?
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ヴァイオリン以外にも習い事をやっていて、ピアノ、習字、ソフトボール、サッカー、水泳・・・その中でも音楽はいつも逃げていました。母が買い物に出かけたと同時に楽器を投げ出して漫画読んでいました。それで母が買い物から帰ってくるととたんにまた練習を始めたり・・・頭から弾くとバレてしまいますので、途中からわざと演奏したりしました(笑)でも、私の部屋って階段から丸見えだったみたいで「今日のあさりちゃん楽しかった?」ってお母さんに聞かれたりしていました(笑)漫画の「あさりちゃん」はお母さんが全巻買ってくれていて大好きでした。今でも口癖になっていて「ウニョ」とか言っちゃったりしています(笑)ヴァイオリンよりも「あさりちゃん」でしたね(笑)
それから、横浜から広島へ転校したのです。それまでは、ガキ大将で学級委員もやり、スポーツも好きでリレーの選手をやったりしました。しかし、転校生と言うことや積極的な面が目立ったのでしょう。広島に行ってからいじめを経験し、学校も休みがちになったのです。そんなときヴァイオリンが心の支えになりました。ヴァイオリンの先生の励ましが私の心に素直に響いたのです。横浜に戻るまでは自分を偽ることが日常になっていましたが、音楽をやっているときは素でいられたのです。いつからプロになるっていう気はありませんでしたが、ヴァイオリンは、自分からは離れられないものというのがいまだにあります。
実は先日、福山での演奏会に、私をいじめた子が聴きに来てくれたのです。「あの時はごめんね」って楽屋まで来てくれたのです。うれしかったです。そのときは辛かったけれど、おかげでいろんな感情を知ることが出来ましたし、人が何かにすがることもわるくないとも思えましたので、私にとってかけがえのない経験です。
- もしいじめもなくヴァイオリンの道に進んでいなかったら、今何をされていたと思いますか?
- 運動選手か・・・もしくはごく普通の主婦とかかもしれません。
- ドイツでヴァイオリンを学ぶということは日本で学ぶことと違うことはありますか。
- ドイツは大作曲家を多く生んだ本場の土地ですし、そのような作曲家たちがどのような環境で音楽を育んだかより深く知りたいと思いました。そして行ってみてわかったこともたくさんありました。天気ひとつとってもそうです。日本と違って一日の間に天気がコロコロ変わったりするのですが、このような頻繁な変化と感情の移り変わりは、音楽の中でごく自然に曲調が頻繁に変わっていく様子につながっているのだと、身体でなじむことが出来ました。曲を詳細に分析して理解する以上の大きな収穫です。あとは、気持ちが大きくなりました。友達にも言われますが、顔がおだやかになったと言われました。デビューしてから気を張っていたのですが、ドイツに行って腰を落ち着けて勉強ができて「ほんとに深呼吸できた!」ってゆうのがありました。あと、海外の地に居てあらためて日本人としての良さも忘れたくないと感じました。日本人独特の相手の気持ちを気遣ったり、気を汲み取ったりするのは素敵な文化で、とてもすばらしいことだと思っています。
- 今後紹介していきたい作曲家や作品はありますか。
- コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は早く弾きたいですね。クラシック愛好家の方には、映画音楽風といわれやや避けられがちですが、本当にいいメロディがたくさん入っていますので、推していきたいです。
- 音楽を通して伝えていきたいことはなんですか。
- いじめや孤独感でつらかったときに、音楽を得て安心したことがたくさんありました。また大好きなジュリアン・ラクリンの演奏をきいた時に共感を得たり、安心感に浸れたりもしました。これから先、自分の経験を通じて、多様な感情知り、それをお客さんたちに伝えていきたいです。まだまだ技術が足りないので、日々努力したいと思っています。

今日はお忙しい中、本当にありがとうございました。今後のご活躍期待しております。
演奏には心底感服圧倒されました。多彩な音楽表現のための高度な技巧をものにされており、ご自身では謙遜されてらっしゃいましたが、ここまでの道のりは並大抵ではなかったと想像します。楽器としてのヴァイオリンの難しさは半端ではありません。習う人が多いものの途中で諦める人もまた多いのが事実です。圧倒的に多くの時間を地味な反復の練習に割かなければならないのです。続かなくなるのも無理はありません。それを乗り越えるためには、忍耐力、精神力、意思貫徹力などあらゆる力量が要求されます。プロの奏者の方々というのは、少なくともそれを乗り越えてきた人たちです。その証が、その人の作る音楽そのものと存じます。演奏家にとって楽器の技術を磨くと言うことは、すなわち人間を磨く、精神を磨くということとまったく同じことなのだと感じました。人を圧倒する技量をもって、魅力的な音楽を作る演奏家はもうそれだけで尊敬に値するものです。演奏だけでなく、素晴らしい人柄に触れることが出来て私は大変良い時間を過ごすことが出来ました。ありがとうございました。
(インタヴュアー:古典派 大澤)