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ピアニスト「アリス=紗良・オット」古典派独占インタビュー

古典派独占インタビュー

Q.アリスさんは、既にラヴェル、モーツァルト、ショスタコーヴィチ、ラフマニノフ、チャイコフスキーらの協奏曲からリスト、べートーヴェンなどレパートリーは多岐にわたっていますが、グラモフォンとの最初のレコードにリストを選ばれたのはどのような意図がおありだったのですか?

アリス=紗良・オットさんインタビュー

【アリス】 はじめてついたピアノの先生がハンガリー人の先生で、8年間ついていたのですが、その方の影響もあり、リスト、バルトーク、リゲティらの音楽には深く携わって育ってきました。
中でもリストに関しては、12歳の頃から、超絶技巧練習曲のうちのいくつかをはじめていて、いつかは全曲揃えて弾きたいという気持ちが強くありました。

「超絶技巧練習曲」という題名からも技術的なものが表に出て誤解されやすいですが、この作品にはそれだけにとどまらないリストの人生、人間そのものの深さがあると信じています。私はそれを掘り返してみたいと考えました。全曲を聴き通しますと人間の持つあらゆる感情の一切合財のもの(怒り、嘆き、アイロニー、誘惑、よろこび、たのしさ)が含まれていることに気づきます。

そういった、音と音の間に隠れている音楽性を聴き手に示すことが演奏家にとって大切なことと考えておりますので、この曲集の中から、いくつか曲を選んで聴いていただくのではなく全曲を通じて聴いていただくというのが、今自分が言いたいことを一番聴き手にお伝えできるのではないかと思い選びました。

Q.演奏会まで僅かな期間で曲を仕上げているのですね。驚きました。
【アリス】 公演の1ヶ月前に言われることもありますし、一番短かったのは10日間というのもありました。演奏家にとって、公演までの練習準備期間はなくてはならない大切なものなのですが、一方で私は、成長という意味では、その曲を舞台にかけてからの経験が大切だと思っています。舞台での経験を重ねていくというのが演奏家としての成長に繋がりますしその過程で曲は更に磨きがかかるものと考えています。
Q.緊張はしませんか?長い曲で集中力を持続させなければならなかったりしますがその過程で、とまったりする不安は?
【アリス】 十分な練習と準備を行っているのでそうなることはまずありません。おかげさまで5歳の時から舞台を踏ませてもらう機会に恵まれてますから、緊張とか怖いというものはありません。むしろ舞台裏で待っている時間が長く感じられます。早く舞台に出たいという気持ちが強くあり、オーケストラとの共演の場合など、オーケストラの楽員の方々と一緒に楽しむといった感覚です。緊張して固くなるということは、ほとんど経験したことはないです。
Q.プロの演奏家になることを意識されたのはどのようなきっかけでしょうか。
【アリス】 3歳のときに初めて両親にピアノのコンサートにつれて行ってもらったんです。そのときピアノの持つ表現力に圧倒されて、幼いながらにも、ピアノで思うように表現してみたいと強く感じたのです。コンサートのあとに「自分は絶対にピアニストになる!」って言って一年間頼み込んでようやく4歳でピアノを習わせてもらいました。

その後、5歳のときミュンヘンのコンクールに出ました。当時コンクールというものがどういうものなのか良く理解できないまま、本選会場のヘラクレス宮殿ホールに詰め掛けた1500人のお客様の前で、自分の演奏を披露しました。演奏後に、「ブラボー!」という声や拍手をもらったあの瞬間をとても印象深く覚えています。「ああ、自分の思いが音楽を通じて伝わったんだ」と幼いながらにも強い感動を受けました。その喜びを味わって以来、ピアノ一筋、演奏家として生きて行きたいと思いました。後悔したことはありませんね。でも実は、ピアノと出会う前は、「首相になりたい!」とか言ってたんですけどね(笑)それはまだ可能性がありますね(笑)
Q.オフの時はどのように過ごされているのでしょうか?やはりピアノですか?
【アリス】 長時間ピアノを練習することも大切ですが、それ以外にもいろいろなことするのが好きです。例えば、音楽を聴いたり、絵を描いたり、美術館に行ったり、お友達と会ったり・・・料理も大好きですよ。最近はイタリア料理に凝ってるけど、自分流で料理を作るのが好きですね。創作料理を作っては、お父さんに試食してもらってます。静かにしてるときは少なくて、何かしらやってることが多いですね(笑)やっぱり人間が成長しないと音楽も成長しないですから、いろんな経験を積んで人生そのものを味わうってことが必要だと思ってます。
Q.これから取組んで行きたい作曲家や作品はありますか
【アリス】 作曲家も人間ですから、常に同じような作品を生み出すのではなく、様々な局面を持ち合わせて多彩に作品を生み出しています。そのように生み出された多彩で膨大なピアノのレパートリーの中から、特定の作曲家と言う枠組みはあまり意識せず、その時その時の自分に最も合った作品を選んで取組んで行きたいと考えています。今、関心を寄せている作品としてベートーヴェンのピアノソナタ第32番ハ短調作品111やリストのピアノソナタロ短調があります。これもしっかり時間を掛けて勉強していこうと思っています。
Q.ピアノを愛する方々にアドバイス、メッセージはありますか?
【アリス】 聴いて下さる方と舞台上でコミュニケーションがとれ、自分の感情と共鳴できたら音楽家としてこれ以上いうことはありません。その為には音楽というものをまず自身が楽しむことが大切だと考えています。自分の期待に応えることそして自分の素顔を伝えること、それがピアノ(音楽)を演奏する人にとって大切なことだと思います。これは私のモットーでもあるのですが、自分が幸せであれば人にも幸せをわけていくことができると信じています。

ご多忙の中貴重な時間を頂きましてありがとう御座いました。4歳から始められて僅かの年月でプロの演奏家として世界中で聴衆を熱狂させる技量にまで自身を高められたというのは、天分の才だけに頼らない相当の自己研磨があったのだと察します。その修練の経験がアリスさんの音楽に深い彫琢を与え、大きな説得力となって聴き手を圧倒しているように思います。暖かな家庭環境と厳しい練習に育まれたアリスさんから、今後ものびのびとした大きな音楽が繰り出されることを期待したいと思います。
【古典派インタビュアー:大澤】


【 アリス=紗良・オットさんの意外な素顔がわかる、エンタメライフに関するインタビューはこちら 】

Felistaインタビュー

リリース リスト:超絶技巧練習曲

リスト:超絶技巧練習曲/アリス=紗良・オット

リスト:超絶技巧練習曲
LISZT: ETUDES D'EXECUTION TRANSCENDANTE
アリス=紗良・オット (ALICE SARA OTT)
日本盤のみボーナス・トラック ラ・カンパネラ
(パガニーニ大練習曲 第3番 嬰ト短調)

2008年11月26日発売
録音:2008年6月 ハンブルク
UCCG-1440 ¥2,500 tx in

 

作曲家=ヴィルトゥオーソ、ロマン派の大家であるリストの『ピアノという楽器の表現の限界への挑戦』であり、ロマン派の『夢と情熱、美しさに』満ちた大作である《超絶技巧練習曲集》。この一握りの真の大家にのみ許される難曲を早くもデビュー・アルバムで制覇しているアリス=紗良・オット。驚異的な指のなめらかさと煌びやかな音色、重厚な響きを生み出す強靭なタッチ、優美な歌と内省的な静寂、それら全てをコントロールしながら輝きを増す強烈な個性、そして留まることを知らない進化と深化。彼女は全てを持っている!

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アリス=紗良・オットプロフィール

アリス=沙良・オット

1988年のミュンヘンでドイツ人の父と日本人の母の間に生まれたアリス=紗良・オットは4歳の時にピアノのレッスンを受け始めた。7歳の時にドイツの名門、ドイツ連邦青少年音楽コンクールで見事に優勝。それを皮切りに、スタインウェイ国際コンクール、グロートリアン・シュタインヴェーク国際コンクール、ケーテン・バッハ・コンクール、そして第4回欧州ピアノ指導者連盟コンクールなど、数々のコンクールで”MPA”(モスト・プロミッシング・アーティスト)を受賞、その2年後にはイタリアで開催されたピエネロ・デルヴァルティドーネ国際コンクールに最年少で出場し、歴代最高得点を獲得、最優秀賞であるシルヴィオ・ベンガーリ賞を受賞した。
そして、2008年7月、ハンブルク。ドイツ・グラモフォンが当時19歳だった、アリス=紗良・オットと専属契約を発表!

「6歳の時、ドイツ・グラモフォンの鮮やかな黄色いロゴがついたカセットを貰って、両親にいずれ私もこのようなカセットを出せるかと訊いたことがありました。今、私の夢が実現したのです。音楽という言語を通じて、私の気持ちや感情を皆さんと共有し、限りなく増えゆく聴衆、それも私の年代を含む人々を感動させることができるなんて、これ以上の満足はありません。ドイツ・グラモフォンの一員になれたことは、信じられないほど名誉なことだと思います。」

[ 主な受賞歴 ]

  • 1995年 ドイツ連邦青少年音楽コンクール優勝
  • 1997年 スタインウェイ国際コンクール 第1位
  • 1998年 イタリア・リゲッティ国際コンクール 第1位
  • 1999年 ハンブルク音楽ホール・コンクール 第1位 
  • 2000年 グロートリアン・シュタインヴェーク国際コンクール第1位
  • 2001年 ミュンヘン・カール・ラング・コンクール 第1位
  • 2002年 ミュンヘン・カール・ラング・コンクール 第1位
  • 2003年 リンダウ・ロータリー・ヤング・ミュージック・コンクール第1位
  • 2003年 ケーテン・バッハ・コンクール 第1位&市長特別賞
  • 2004年 ピエネロ・デルヴァルティドーネ国際コンクール優勝 (史上最高得点)
  • 2005年 欧州ピアノ指導者連盟コンクール 第1位桂冠